【砂漠の星に見る夢】
そう、実際拍子抜けだった。
けれど何故か心臓が強く音を立てる。
息苦しいぐらいの鼓動の強さ。
どうしてこんなにドキドキするんだろう?
クラリと目眩を感じて、額を押さえると、
「お姉ちゃん、大丈夫?」
と異変に気付き顔を覗き込んで来た雄太に慌てて「大丈夫」と笑みを返す。
「では、次はこちらです」
ガイドと共に皆が『王の間』を出始めたので、その後をついて出ようとすると、
「こんにちは、お嬢さん、お坊ちゃん」
と背後でしわがれた男の声がした。
後ろに人なんていた?
戸惑いながら振り返ると、そこには浅黒い肌に白い服、そして白い帽子をかぶったエジプト人らしき背の高い老人が笑顔を見せている。
顔こそ皴だらけだったが背筋がピンとしていて眼差しも強く、凛とした雰囲気を漂わせた老人だった。