【砂漠の星に見る夢】
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そうしてピラミッド建造は開始された。


職のないほとんどの者がピラミッド建造事業に携わることで王室から給料を受け取り、それによって国民も外国の物資を購入できるようになり、少しずつ経済が流れるようになった。


ピラミッド建造が始まったばかりの頃、現場に見学に来たイシスは皆の働いている姿を見て驚いたように目を丸くした。


多くの民衆が汗水たらして、大変そうに石を運んでいたからだ。


イシスは現場で指揮を執るヘムオンの元に駆け寄り、


「ヘムオン、どうして皆、あんなに大変そうなの?あの船の力で石をうんと軽くできるはずでしょう?」

と強い口調でそう訊ねた。


「ええ、多少は軽くしてありますよ」


サラリとそう答えたヘムオンに、


「多少って、ネフェルのときは本当に軽くしていたわ」


とイシスはムキになり、責めるような視線をヘムオンに送った。

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