【砂漠の星に見る夢】

「あっ、大変」


慌てて手を伸ばしたとき、見知らぬ青年がスッとその洗濯物を手に取った。


「すみません、ありがとうございます」


イシスは顔を上げるなり、その青年の美しさに思わず息を飲む。


青年は旅人のような真っ白いフードつきの薄手のコートを着ていて、洗濯物を手にしたまま驚いたようにイシスを見ている。


褐色の肌に金髪の巻き毛が光り輝き、吸い込まれそうな緑の瞳が印象的で、精悍に整った美しい顔立ちはまるで彫刻を思わせた。


彼はその緑色の瞳をアーチ状に細め、優雅に微笑む。


「驚いた、こんな所に絶世の美女がいるなんて」


その言葉にイシスは思わず言葉を詰まらせた。


それは、こっちの台詞だわ。こんな所に絶世の美青年が現れるなんて思わなかった。


イシスはそう思った後、気を引き締めるように唇を噛み『男というのはちょっと外見が良いとすぐさま歯の浮くような台詞を吐くんだから気をつけないと』と言い聞かせ、


心の動揺を隠すように軽く咳払いをし、「洗濯物、取ってくださってありがとう」と手を伸ばす。


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