【砂漠の星に見る夢】

「君は『ラー』の信者?」


「そんなんじゃないわ。神様は信じるけど、それを太陽とか星に限定したりしない。太陽も星も月も大地も、この世のすべてが奇跡的な神の所業だと思っているし、何より大事なのは争わないことよ」


キッパリと言い放つイシスをマジマジと見ながら、「本当に驚いた、君は美しいだけの人ではないんだね」と心底感心したように目を輝かせた。


「それよりも、早く返して!」


イシスが手を伸ばして睨むと、彼は「そうだね」と呟き、「キスしてくれたら返してもいいよ」とイタズラな子供のように微笑む。


「…………」


その瞬間、イシスは彼の腹部にドスッと拳を叩きつけ、不意を突かれて「ぐっ」と蹲る彼から、平然と下着を奪い返した。


「……いい、パンチだね」


腹部を抑えながら苦しげに漏らす彼に、イシスは「ありがとう、それじゃあ」と冷ややかな笑みを見せ、背を向ける。


彼は颯爽と立ち去るイシスの後ろ姿を見ながら「あんな子はじめてだ」と楽しそうに笑い、「あっ、痛っ」と、また腹部を抑えた。



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