【砂漠の星に見る夢】
「それを言わないでください。私も一人の男として数人の妻を持ち、母親の言葉が絶対ではないと気付いたんです。第二王妃である母上が、第一王子である兄上に対する態度は目に余るものがあります」
「まぁ、あのお方は『ラー』大神官のご令嬢。私が疎ましくても無理はないんだよ」
そう言って微笑んだネフェルに、クフはそっとテラスに頬杖をつき、そっと視線を送る。
「ずっと、お聞きしたかったんですが、どうして兄上は星を信仰されているのですか?」
「どうして……とは?」
「兄上の母君が『オシリス』だから、兄上も星を信仰されているのですか?」
真顔で訊ねるクフに、ネフェルは少し笑ったあと、ゆっくり星空を仰ぐ。
「星を信仰する仲間達の多くは、ただ星を神と崇めているだけだが……私や母の場合は少し違う。
『星』の血が流れているんだ」
「星の血? 変なことを言いますね」
「お前達は、『ラー』が神であり父と信じているのだろう? 私の場合は……」
ネフェルはそう言って北の空を仰ぎ、光り輝く北極星を指した。
「――あの星に住む者の子孫なんだ」
クフは「はっ?」と目を丸くし、「やっぱり変なことを言いますね」と小さく笑う。