【砂漠の星に見る夢】
「……そうかもな。でも北極星の血を引く『オシリス』はある年齢に達すると、それを全身で自覚するんだ。理屈じゃないんだ」
そう呟くネフェルに、クフはまた理解できないように小首を傾げる。
「やはり兄上は不思議な人だ。
美しい褐色の肌に日の光のような黄金の髪、葉の緑のような美しい瞳……まるで太陽神『ラー』の化身のような人なのに、あの北極星の子孫だなんて」
太陽神ラーに例えられたことにネフェルは「それは光栄だな」と愉快そうに笑った。
「今も北極星には兄上の同胞が住んでおられるのですか?」
からかうように訊ねたクフに、ネフェルは目を細め、
「よくは分からないが今は誰も住んでいないだろう。何かがあり皆、故郷を脱出した。だが不思議なんだ。星を見る度に帰りたいと思ってしまうよ。もう決して帰ることはできないのだろうけど」
と切なげに息をつく。
クフは、そんな兄の心情がまったく理解できないと眉をひそめ、
「やっぱり、変な人だ」
と笑っていると、侍女がテラスに姿を現し、スッと跪く。
「ネフェル様、ファラオがお呼びです」
「分かった」と頷き、ネフェルはゆっくりファラオの元に向かった。