【砂漠の星に見る夢】
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そうしてピラミッド建造労働者を募った結果、宮殿裏には千人を超える労働希望者が集まった。
ネフェルは宮殿のテラスから、大勢の民衆が集う裏庭を見渡し、「まさか、こんなに集まるとはなぁ」と愉快そうに言う。
「すごい人ですね」
そう言って歩み寄って来たクフに、ネフェルは笑顔で「ああ」と頷いた。
「男ばかりがこんなに集まるのも迫力だな」
ネフェルはそう漏らした後、前列に女性の姿があることに気付き、「ん?」と身を乗り出し、その女性がイシスであることに目を丸くしたあと、プッと吹き出した。
「イシス!」
声を上げて手を振ると、一方のイシスは宮殿のテラスからネフェルに手を振られ、照れ臭そうにしつつ遠慮がちに手を振り返す。
クフはそんな二人のやり取りを黙って眺めながら、改めてイシスの姿を見て、ぐっ、と目を凝らした。
――帰還祭の時に花束を贈呈した美しい町娘だ。
「……あの娘とお知り合いになられたんですか?」
探りを入れるように訊ねたクフに、
「今度、正式に紹介するよ。私の妻になる人だ」
とネフェルは悪びれもせずにそう言い、
「じゃあ、皆の元に向かうから、またな」
とクフに背を向けた。
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そうしてピラミッド建造労働者を募った結果、宮殿裏には千人を超える労働希望者が集まった。
ネフェルは宮殿のテラスから、大勢の民衆が集う裏庭を見渡し、「まさか、こんなに集まるとはなぁ」と愉快そうに言う。
「すごい人ですね」
そう言って歩み寄って来たクフに、ネフェルは笑顔で「ああ」と頷いた。
「男ばかりがこんなに集まるのも迫力だな」
ネフェルはそう漏らした後、前列に女性の姿があることに気付き、「ん?」と身を乗り出し、その女性がイシスであることに目を丸くしたあと、プッと吹き出した。
「イシス!」
声を上げて手を振ると、一方のイシスは宮殿のテラスからネフェルに手を振られ、照れ臭そうにしつつ遠慮がちに手を振り返す。
クフはそんな二人のやり取りを黙って眺めながら、改めてイシスの姿を見て、ぐっ、と目を凝らした。
――帰還祭の時に花束を贈呈した美しい町娘だ。
「……あの娘とお知り合いになられたんですか?」
探りを入れるように訊ねたクフに、
「今度、正式に紹介するよ。私の妻になる人だ」
とネフェルは悪びれもせずにそう言い、
「じゃあ、皆の元に向かうから、またな」
とクフに背を向けた。