【砂漠の星に見る夢】
「君まで労働者として来るなんて」
と少し呆れたようにそう告げたネフェルに、
「雑用希望よ。私もピラミッド建造に興味があって」
とイシスは目を輝かせた。
「まったく君は小さな男の子みたいに好奇心旺盛だな」
ネフェルはクスクス笑ってイシスの頭を優しく撫で、「それじゃあ、挨拶をしないと」と言って颯爽と壇上に立った。
「皆さん、ピラミッド建造の為に集まってくれてありがとう。これからピラミッド建造について簡単な説明をさせていただきます」
裏庭に集まった千人の労働者達は皆、息を呑みネフェルの言葉に耳を傾けていた。
仕事というのは単純明快なものだった。
ピラミッドに使う石を切り取り、それを運び積み上げる、という至ってシンプルなもので、しかし何トンものする石を切り取り運んで積み上げるなど、簡単な作業ではないと、誰もがそう感じた。
「なんだそれは、三ヶ月で造るなんて、無理に決まってるだろ」
「そうだそうだ」
ネフェルの説明を聞くなり、野次を飛ばし出した民衆に、イシスは『どうしよう』と目を泳がせた。
しかしイシスも野次こそ飛ばさないものの同感だった。
想像を絶する重労働になるだろう。