【砂漠の星に見る夢】
その完成式はメンフィスの町はおろかエジプトの国を挙げての一大イベントとなった。
ピラミッドが建造されたダハシュールには王族を筆頭に一目ピラミッドを見ようと多くの民衆が集まった。しかしその日、ダハシュールでは深い霧に覆われピラミッドの姿を確認することが出来ずにいた。
「せっかくの完成式だというのに、この霧は残念だな」
黄金の御輿の上で残念そうな声を上げるファラオに、
「いいえ、父上、この霧は私が作らせていただきました」
とネフェルは胸に手を当ててそう言った。
「なんと」と仰天するファラオにネフェルは笑みを見せたあと、壇上に上がり、皆に聞こえるような大きな声でいった。
「それでは、皆さん、お待たせいたしました。ファラオのピラミッドをお目にかけます!」
そう叫んだと同時に、深い霧は嘘のように消えてなくなり、ダハシュールの広大な砂漠の上にピラミッドが姿を現した。
それは、下半分は急角度であるのに対し上半分が急に角度が浅くなっている、なんとも奇妙な形状をしていた為、ファラオをはじめ民衆達は、ええ?と目を丸くした。