【砂漠の星に見る夢】
「なんて醜いピラミッドでしょう」
とヘレスはこれ見よがしに声を上げ、メルサンクはバツが悪そうに顔をしかめた。想像していたものとは違うピラミッドを前に民衆はざわめき、他の王族たちは『海外からも客人が来ているというのに』と苦笑した。
ファラオは戸惑いながら、「あれがピラミッドだというのか?」と半ばがっかりしたように呟いた。
「ええ、父上、よく見てください、あの形を」
とネフェルはピラミッドを指した。
「形?」
ファラオは目を凝らしピラミッドを見た。
「太陽信仰のご神体の石にそっくりでしょう? これからはあのピラミッドもご神体の一つとしていただきたいと思います」
そう告げたネフェルに、ファラオは目を見開いた。
「星信仰のそなたが私の為に太陽信仰の神体の石と同じ形状にしてくれたと言うのか」
熱っぽくそう告げたファラオに、ネフェルは、ええ、と頷き、
「太陽も星も、私としてはどちらも崇める素晴らしいものですから」といったあと、「そしてあちらをご覧ください」と、まだ深い霧に覆われている広大な砂漠を指した。
ネフェルの言葉を合図にみるみる霧は晴れ、真っ赤な夕日が姿を現したと同時に、それは美しい真正のピラミッドが姿を現した。
その美しいピラミッドは、夕日に映り真っ赤に光り輝いて見えた。