傍にいさせて





―――――……




「……お母さん、なにこれ?」


「私たちの新しいお家!」


「……うそ…」


「ほんと!」




3時間前に、引っ越しのトラックが来て、荷物を入れてそのトラックにお母さんの車で付いていき、たどり着いたのは、郊外にある一軒家だった。


周りには二、三軒目の前にある私たちの新しいお家とやらと同様な、豪邸が建っていた。



まさか、お母さん……金銭感覚疎いからって、この豪邸押し売りされたとかじゃないよね…?




「ここね、お父さんとお母さんが建てた家なの」


「え…?」


「夏恋が大きくなったら、ここに住もうねって約束してたんだ…」


「……………」


「そんな顔しないの!ほら、お父さんの遺言だと思ってさ!」




そう言って、私の背中を叩き、家の中へ入れた。



< 11 / 103 >

この作品をシェア

pagetop