傍にいさせて
―――――……
「……お母さん、なにこれ?」
「私たちの新しいお家!」
「……うそ…」
「ほんと!」
3時間前に、引っ越しのトラックが来て、荷物を入れてそのトラックにお母さんの車で付いていき、たどり着いたのは、郊外にある一軒家だった。
周りには二、三軒目の前にある私たちの新しいお家とやらと同様な、豪邸が建っていた。
まさか、お母さん……金銭感覚疎いからって、この豪邸押し売りされたとかじゃないよね…?
「ここね、お父さんとお母さんが建てた家なの」
「え…?」
「夏恋が大きくなったら、ここに住もうねって約束してたんだ…」
「……………」
「そんな顔しないの!ほら、お父さんの遺言だと思ってさ!」
そう言って、私の背中を叩き、家の中へ入れた。