傍にいさせて





『うぅぅ……』


「何するの…要…」


「……痛い…」


「何で俺こんなに叩かれてんの?」


「お前らが迷惑ばっかかけるからだろ」




三人がそれぞれ非難の声を上げるけど、宝条さんはしれっとした顔で返した。



私は目をパチパチさせて驚いたけど、桐谷さんは私とは正反対の反応を見せた。




「いいよ要、俺気にしてねぇし

…こいつはどうか知らねぇけど」




「こいつ」と言って、桐谷さんは私を目で示した。


わ、私に振るんですか…。

確かにびっくりはしたけど、嫌って訳じゃなかったから…。




「私も、大丈夫です」




と、笑って返しておいた。


そうすると、桐谷さんは笑みを深め、宝条さんは小さく笑った。


この二人は大人だから、ずっとお母さんを相手にしてきたから私にとっては接しやすい。



そんなことを考えていると、いつの間にか桐山さんが、湊くんたちに混ざって騒いでいた。




「あいつらガキで悪いな」


「あ、いえ…賑やかでいいと思います」


「まぁな…賑やかすぎるけど…」




宝条さんと苦笑いしながら、桐山さんたちを見て、初めて見たときの怖さは無くなっていた。




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