傍にいさせて
「お前、花音さんの娘って、本当か?」
「え…ぁ、はい」
「ふ〜ん…」
花音って、私の知ってるかぎりだと、お母さんしかいないけど、いいのかな…。
てか“娘”って言ってたし、いいんだよね…?
桐山さんはそれを聞いてから、それっきり黙ってしまった。
でも、不思議と嫌な感じとか、息苦しいって感じはない。
何でだろう……。
なんか、懐かしい…?
「あれ〜?汰斗、夏恋ちゃんのこと口説いてるの?」
「まじか」
「おー、汰斗やるねー」
お弁当をつつきながら、桐山さんのことを考えていると、湊くん渚くん、相楽さんがニヤニヤしながら近づいてきて、そう言った。
口説いてるって……桐山さんは、そんなつもりじゃないと思うんだけどな…。
どう答えていいか分からず苦笑いしていると、三人の後ろに人が立ち、湊くん渚くん相楽さんの順番で、一人ずつ頭を叩いていった。