戸惑いの姫君と貴公子は、オフィスがお好き?―特別編―
だがここまで追いつめられた。すなわち、この写真以外に苦しめる原因があったはず。
「貴方が苦しむものは取り除きたい。
もちろんですが、貴方しか愛していません。俺の結婚相手は誰ですか?」
「あ……、たし」と、か細い声が返って来る。
「怜葉が隣にいてくれて、今の俺がいます。
反対に、俺が貴方の隣に立つのはふさわしくありませんか?」
言葉なく、ふるふると頭を振ってくれる。その反応を見て、心中ではどれほど安堵したことか。
「何より、俺が貴方と星矢に不誠実だったことはありますか?一切無いはずだ」
再び黙り込んでしまったが、これは肯定していると同じ。
「怜葉以外、誰を愛せと言うんですか」
「ひっ、く……分かった、からっ」
サラサラの黒髪をひと掬いしてキスを落とす。
「それと、犯人はすでに絞れていますよ」
「……え?」
弾かれたように顔を上げた彼女は、瞳を真っ赤にしている。