追いかけて繋ぐ恋
語る人
一番知りたいことを聞いてみようと思った。


でも


聞かれたくないことかも。

触れられたくないことかも。


なかなか言えない。


吉永くんも喋らないから、雨の音だけが響いていた。


沈黙すること10分。


「そろそろ帰る?送ろうか?」



私、何しに来たのだろう。

はあ~


大きな溜め息とついた。



「その溜め息は何?」


吉永くんが不思議そうに聞いてきた。


「うん、聞きたいことがあったのだけど聞けないなと思って」


「何?聞きたいことって?答えるよ」


吉永くんが私をジッと見た。
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