誘惑男子SS~誘惑は甘い罠~
「あいつなら今日は帰ってこないよ。
一晩帰れないくらいの残業、上司の特権振りかざして俺が押しつけてきたから」
「どうして、課長が…」
「聞き捨てならない噂を耳にしてね」
「えっ?」
後ろからシンクに押しつけられたまま、顔だけ斜め上に振り返る。
「今夜おまえが、ここに泊まるって」
「………」
「だから、かっさらいにきた」
「課長…」
思わずうつ向いた顎を、長い指でくいっとすくい上げられる。
「俺のものになれよ」
ズキュンと甘い疼きが胸を貫く。
「……い、いやです。課長は、人のものがほしいだけで…っ、ぅん…」
後頭部を大きな手でがっちり押さえられ、無理やり唇を塞がれる。
「…っ、んふ、……んん……っ」
息もつかせないくらいの甘く激しい大人のキスが、美奈子の身も心も理性も溶かしてしまう。