逢いたくて
どのくらいそうしていたんだろう



「なにやってんだよ…」



私の大好きな人の声に顔をあげる


そこには渉がいた

「いつからこうしてる?」

「……」

「入ろう」

渉の声に反応したいのに何て言ったらいいかわからなくて黙っていると

渉もしゃがんだ

「咲…」

名前を呼ばれただけで涙が次々に溢れる

「俺は…咲を泣かせたい訳じゃないんだ…」

「……」

「咲…」

「私が好きなのは渉なの。渉といたいのっ!渉がいいの!渉じゃないとだめなの!渉が…」

「もういいよ…」

そこまで言ったところで渉に包まれた

「渉といたいの…」

自分でもまっすぐ気持ちを伝えられたことに驚いた

渉は強く強く抱きしめてこたえてくれる

「…だから…もう…別れるなんて…言わないで…」

泣きながら必死に伝えた
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