逢いたくて
「私にはそれで十分だったから別れたの。彼は最後まで愛そうと努力してくれたんだもん」

「会社は?」

「くれてやったわ。ただ譲の築いたものは私が別の会社にうつしたから譲のものよ」

「あの……………」

「??」

「譲さんがあなたを呼んでいます」

「まさか…いまさら…」

「いいえ呼んでいます。病室で…だからあなたを呼びに来ました。」

奥さんがぽろぽろと涙を流す

「譲さんとのこと…本当にすみませんでした…。奥さんを傷つけて…。」

「……あなたを責める気はないわ。人を愛するのに順位はないでしょ?」

私に向けられた微かな笑みに私は涙があふれてとまらなかった…

でもこれだけは言わなきゃ

「譲さんは口には出しません。きっと私への罪悪感があるから…。でもあなたを待っているんです…。今もあなたを…」
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