逢いたくて
「……きっ………咲っ!」

目をあけるとそこには渉がいた

まぼろし?

私はただ渉の声を求めて歩いていたはずなのに…

「咲っ!」

「………」

渉の目から涙が溢れた

私の手を握っているその手の温もりに気づいた瞬間

目の前にいる渉が本物だと

目の前の世界は現実だとわかった

あったかい…

「……っ」

胸に激痛が走る

「痛むか?」

ゆっくり頷く

「呼吸困難になったんだ。過呼吸…かなりの頻度でなってただろ?」

「……」

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