付き合ってるのよ?
姉さんの意味不明な発言に、今までうるさかった風太も黙った。


暫くの沈黙が俺たち3人の、まわりをグルグルまわる。


でも、沈黙をやぶったのは姉さんだった。


「あんな子に、会いに行かないでいい」

あんな子って言うのは、綾乃のことかだろうか?


姉さんは言った。

俺を睨みながら。

俺は今までこんな姉さんを、見たことない。


いつだって、ニコニコ笑いながら、怒ることなん1回もなかった。


俺の家は両親が海外で仕事をしていて、帰ってくるのは1年に、数回だ。


子供の頃は、それが寂しかった。


家政婦さんが泊り込みでいてくれたけど、風太につきっきりだった。


でも姉さんは、いつも俺のそばにいてくれた。


いつも優しい瞳で笑ってた。


でも今はその瞳で、睨んでいる。


でもな。

姉さん。


いくら睨まれたって、俺は今姉さんのことが許せない。


「姉さんには、関係ない」



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