愛さない。愛せない。
「もう一年たつよ…。」
お兄ちゃんが亡くなった日から、私の中の時間はとまったまま。1年って長いようで短い。
「はやいなー。…お前も高校生か」
「うん、高校生。今日入学式だった」
ふと、あの可愛い顔が脳内をかすめた。可笑しな人だったなぁ本当に。
「なに?友達でも出来たのか?」
ニヤニヤ顔でいう翼さんが少しムカつく。できっかそんなもん。
でも、友達ではないけど…
「面白い人ならいたよ」
勝手に口角が上がる。他人の事に対してここまで考えたのははじめて。私も少しは克服したのかな…
「へー。良かったじゃん」
娘を成長を見守るお父さんみたいな顔をして、翼さんが私に言った。おっさんかよ!
「まあね…高校受験して良かったかも」