死神の嘲笑
「私にとって最も印象に残っているのは『夕顔』かな。せっかく源氏と夕顔は愛し合うことができたのに、物の怪のせいで夕顔は亡くなってしまったの」

夕顔の知り合いでもあるかのように、感情移入している彼女に対し、愛おしさを感じずにはいられなかった。

「愛し合えた短い時間。密度は濃かったかもしれないけれど、やっぱり寂しいな、と思って」

「そうだな」


返答しつつも、死神は源氏が羨ましかった。

自分と彼女は愛し合うことができない。

きっと、友達止まりだ。

それに比べたら、源氏は幸せではないか、と考えていた。

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