死神の嘲笑
離れても、五月九日には必ず『生きている』証拠が郵便で届いた。

白にオレンジ、黄色……。

齢を重ねるにつれ、増えていく証。


フォトフレームには、旅立つ前に二人で撮った軌跡を入れている。


高校卒業後、梓は地元の大学に通うようになっていた。


十九回目の誕生日には、澄み渡った空のような、青いものが手元に来た。

それが最後の『生きている』証になるとも知らずに――。

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