雨宿りの喫茶店
「お待たせしちゃったわね!ごめんなさいね」
申し訳なさそうに笑いながら私の前にことりと置かれた紅茶とチーズケーキ。
「私…紅茶しか」
「これは私からのサービスよ。チーズケーキはお嫌いだったかしら?」
おばあさんの問いにゆっくり首を横に降ると、おばあさんはまた優しく笑った。
「お口に合うか分からないけど、良かったら食べて?」
「すいません、では遠慮なくいただきます」
軽く頭を下げた私におばあさんは「ゆっくり食べてね」と言ってから洗い物を始めた。
かちゃん、かちゃん、とお皿が奏でる音が静かな喫茶店に響き始めた。
決してうるさい訳ではない。
でもやけに響いて聞こえた。