雨宿りの喫茶店
柔らかく湯気をたてている紅茶に口をつけると、ふわりといい香りがした。
ゆっくり喉の奥へとながすと、冷えていた身体が少しずつ温まってきて小さく息をついた。
何気なくポケットからケータイを取り出して画面を見つめる。
あれだけの雨だったのに濡れてない。
それに着信もない。
また一口紅茶を飲み込んで、さっきとは少し違う息を吐き出した。
その時にきゅっ、と蛇口が閉まる音が聞こえて顔を上げると、笑顔でまたおばあさんはこっちを見ていた。