魔物に恋をしてしまった
悔しいから蘭の弁当箱に手を伸ばしてエビフライをこっそり取ろうとすれば、すぐに気づかれ
「なに?」
「…エビフライ」
「欲しいの?」
「うん…」
「ほら」
そう言って口元にエビフライをもってくる。
え、待って…これアレだよね。カップルがよくやってる食べさせあいっこの『あーん』ってやつ…
「お弁当箱に置いてくれれば…」
今 顔が熱くて自分の顔が赤いのがよくわかる。
「やだ」
蘭の顔は意地悪そうに笑っている。コイツあたしをからかって遊んでるんだ…っ
あたしばっかり狼狽えてるの悔しいし、このままエビフライまで諦めるのは嫌。
平常心よ平常心と心の中で唱えながら
口元のエビフライをいただく。
やっぱ エビフライうまっ!!
「そんな旨いか?」
「食べたことないの?」
「あぁ。ってゆーか食べても味 わかんねぇから」
「そっか、ならもう1本ちょーだい!代わりにこれあげるから」
あたしが差し出したのは嫌いなプチトマト。
「…調子のりそうだから やらない」