彼氏くんと彼女さんの事情
「嘘に決まってんだろ…」
「えっ……」
そうやって、私が勇気を振り絞ってキスを提案してもいつも話を反らされる。
最近時々、ラブラブだと思っているのは私だけなのではないかと不安になる。
勿論、私は高貴の事を信じているけれど。
「ホッペが落ちそう~」
最近出来たばかりのスイーツの店で、高貴と二人掛の丸テーブルでケーキを頬張っていた。
といってもケーキを食べているのは私だけで、甘い物が苦手な高貴はコーヒーを飲んでいる。
店の中は、外から見た通りオシャレで可愛らしい。新しくオープンしたこの店のスイーツを一度食べてみたかったのだ。
「このイチゴのケーキ美味しいよ!高貴も食べれば良いのに~」
「ショートケーキだろ。…甘いの無理だって」
高貴は、私がケーキを頬張っているのをじっと見ている。
やっぱり、甘い物が苦手なのにこんなところに付き合わせちゃって、悪かったかな。
私が行き先を決めるといつも私の好みで選んでしまうので、本当に高貴が楽しんでいるのか分からない。
「…ごめんね?付き合わせちゃって…」
「…?いや、楽しいし」
キョトンとして言う。
高貴の意のある所は謎だ。