彼氏くんと彼女さんの事情


しかし、一つ気になることがあった。



最近、キスはおろか、手を繋ぐことさえも高貴からはしてくれないのだ。




前は高貴から手を繋いでくれたしキスもしてくれた。


だが、最近はもう数ヶ月も私からしかしていない。




今も手が触れそうな位近くに居るのに、高貴は手をブラリと下げたまま。


その手は私のそれを求める事も、また拒むこともしない。




「……手、繋ご?」




私がそう言うと、高貴はチラッと横目で私を見てそっと手を差し出す。



私から言ったら拒むことはないのに。

高貴から言ってはくれない。




しかし、キスに至っては、私から言ってみてもしてくれなかった。




「こ、高貴、…キキキスしよっ」

「……実は俺、ずっと隠してたけど」

「え?」

「……宇宙人、なんだ」




え……う、ちゅうじん?

高貴が、宇宙人!?




「えぇー!?」

「黙っててごめん…」



高貴は悲しそうな表情で目を伏せ、俯く。そんな顔を見たら……心がズキッとする。



「ううん、話してくれてありがとう!
……私は、どんな高貴でも受け入れるから!」



力を込めて言うと、途端高貴は呆れた表情になった。
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