彼氏くんと彼女さんの事情
そうなのか。
…でも、中学のクラスメートにしてはあまり久しぶりという感じではなかった気がする。
「よく会ってるの?」
「いや、会ってない。……てかその話やめよ」
「う、うん…」
ナツミさんの話をすると、何だか不機嫌だ。少しいつもと違う様子の高貴に違和感を感じた。
しかし気にしていないように振る舞う。
「すぐ食べ終わるから、ちょっと待ってね!」
「ゆっくりで良いよ」
* * *
その後は、モールの中をブラブラした。
大きなモールだが平日の為人は少なく、しかし制服を来た若者達がチラホラしている。
アクセサリーや小物を売っている店は、カップルも多い。
「わ、このネクックレス可愛いっ」
「お前には似合わない」
「そんなっ…」
果たして彼女にそんな事を言う彼氏が居るだろうか。
仮に思ったとしても、それはそっと心の中に留めておいて欲しい。
「……嘘だけど」
「ええっ…高貴のバカ」
「本物のバカに言われたくない」
嘘なら、最初からそんな事言わないでよっ。
ちょっと傷付いたのに。
しかしこれが、高貴の愛情表現だと私は思っている。