彼氏くんと彼女さんの事情
* * *
「優愛、時間大丈夫?」
「えっ…あ、もう7時だ。
帰らなきゃ…」
「送ってく」
私の家は門限が7時半の為、今から家へ向かわないといけない。
久しぶりの放課後デートだったから名残惜しい。哀感を込めて呟く。
「もっと一緒に居たいよ」
「え、ヤダ」
「ひっひどい!」
「…嘘だけど」
家に近づいてくると、離れたくなくて高貴にピトリとくっつく。
まぁ、明日も会えるのだが。
「歩きにくい」
そして高貴に嫌そうな顔をされたが。
家の前に着いたとき、私は周囲に人が居ないのを確認して、もう一度お願いしてみることにした。
「こ高貴、あの…」
「?」
自分から言うのはかなり恥ずかしくて、やはり噛んでしまう。
「えと、キキキキスし」
「あ、そうだ優愛」
「ぅえっ?」
せっかくの私の勇気が、高貴の言葉によって遮られる。
というか…避けられた?