彼氏くんと彼女さんの事情

「そうだ、今日テスト返ってくるよね!やだー」

「てっテスト…!」



…そうだった。


先週は月曜日から金曜日まで中間テストだったため、土日を挟んだ今日はテストが返却されるだろう。



お、恐ろしい…!!




* * * *




「今日はテスト返しだったから、授業無くて楽だったね!」



放課後、部活に行く前私は高貴の教室に居た。


授業が終わってから私が高貴の教室へ行き、二人で一緒に体育館の側の更衣室へ向かうのは毎日の日課だ。




「何が返ってきた?」

「えとね、数Ⅱと英語理解と、生物と…」

「数字、どうだった?」

「(はっ!!)」



そこまで来て私は、自ら訊かれてはならない方向へ話を誘導していたことに気が付いた。


ぼ、墓穴を掘ってしまった…。




「えぇっとねー…
こ、高貴は返ってきたの?」



平静を装い聞き返すと、高貴はしらっとした表情で言った。



「うん。100点」

「ひゃ、ひゃく!?」




あまりに凄い点数に思わず舌を巻く。


すると。




「………嘘。96点」

「えっ!?う、嘘なの!?
いやそれにしても凄いけれど!」



思わぬ所で嘘をつかれ一瞬戸惑ってしまったが、96点でも充分すぎる。私には縁遠い存在だ。
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