彼氏くんと彼女さんの事情

* * * *


「で、今日はどうしたの?」



次の日学校に行くと、また親友のさゆりに訊かれた。



「えっ何が?」

「いや、顔に出てるよ。何か良いことあったんでしょ?」



そんなににやけてたかな!?

恥ずかしい…




「うへへ…。実は今日、部活オフだから学校帰りに高貴と遊びに行くの!」

「そうなんだ、いいなぁ。幸せ分けろっ」



さゆりが私の脇腹を肘でつつく。しかし、そんなさゆりも今日は心なしか頬が緩んでいる。




「さゆりも、なんか良いことあったでしょ」

「わかる!?実は今日の朝ね、春川くんに自転車置き場の所で話し掛けられたの!」

「へぇ、何て?」

「ロッカーに行こうとしてたら、『2年4組の教室ってどこ?』って訊かれたの」




…………ん?


2年4組の教室ってここだよね。


どうして自分のクラスの場所を訊くのだろう。




「春川くんって方向音痴なのかな?」

「さぁ」



さゆりは興味無さげに返事をする。


取り敢えず今は、春川くんに話し掛けられたことで頭がいっぱいなようだ。
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