彼氏くんと彼女さんの事情
* * *
まただ。
次の日も、朝ロッカーを開けると、大量のゴミが入っていた。昨日より増えている。
「めんど……。」
ボソッと呟くと、
「わっ!どうしたの、そのロッカー」
真後ろからの声に、ビクリとする。
恐る恐る振り返ると、ヤスくんが私のロッカーの中を覗き込むようにして立っていた。
「……あ……おはよう」
「おっす。……誰にやられたの?それ」
「うーん、春川くんのファンじゃない?」
曖昧に笑って誤魔化してみる。しかし、ヤスくんは笑わなかった。
「今時、こんなくだらねーことする奴いるんだな…。大和には言ったの?」
大和とは春川くんの事だ。
「……いや、言ってない。別に、これぐらい大したことじゃないし」
「いや、大したことあるんじゃ」
ヤスくんは、眉を潜め訝(イブカ)しげな表情をする。
「大丈夫だよ。……だから、春川くんには言わないでね?」
私がそう言うと、ヤスくんは困ったように少し考えたあと「わかった」と呟いた。
「酷くなってきたら、ちゃんと言えよ」
「うん」
私は頷くと、ロッカーの中のゴミを出し始めた。するとヤスくんも手伝ってくれた。
ヤスくんは、春川くんに言えと言ったけれど、私は言いたくなかった。
春川くんのせいで私が嫌がらせを受けているとなると、春川くんに迷惑がかかるし、困るだろう。
まぁ最も、春川くんにそんなことを言ったとしても興味すら持たれないかもしれない。