彼氏くんと彼女さんの事情
「どうだった?」
席に座って頬杖をついていると、ヤスくんが私の席に来た。
「……気づいてもらえなかった。てゆうか、切った方が良いって言ったことも忘れられてた」
「……まじか」
私が言うと、ヤスくんは苦笑いした。
「……はぁ」
髪の毛を切ったことさえ気づいてもらえないなんて。
10cmくらい切ったのに。
「忘れっぽいし、鈍感だし……」
「あいつは忘れっぽい訳じゃな……、いや……」
ヤスくんは、言いかけたのを途中で止め、視線をうろうろさせる。
まただ。
言いかけたなら、ちゃんと言ってよ。
「忘れっぽいんじゃなかったら、何?」
ヤスくんの目を見据えて言うと。
「あー…」と少し困ったような表情を見せたが、意を決めたように私の目を見て言った。
「アイツは忘れっぽくないよ。……ただ、自分の興味や関心の無いことは、はなから覚える気がない」
「………」
そっか。
春川くんは忘れっぽいんじゃなくて、私に興味がないんだ。
私に無関心なんだ。