ピアス
やれやれとコールドは両手を上げ、「あの女もそうだが、やけに名を気にする」そしてクリフを睨みつけ、「コールド」と答えた。
 

 クリフは記憶の断片が走馬灯のように蘇る。
〝お兄ちゃん、いや、死にたくない、いやああああ〟

 その記憶の断片の視線を左斜めに上げる。銀髪のオールバック。まさに目の前の男だった。

「おまえか、妹を殺したのは?」

 クリフは怒りを露にした。

「ほお、妹がいたのか。それは申し訳ない。気づかなかった」

「き、きさまぁ」
 ピエールは声を荒げる。

「やめとけ。小物。声を荒げると弱く見えるぞ」
 コールドは落ち着いた声で言う。ピエールは一瞬で黙る。
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