アルフォドル
アースカード


 バイクは浮浪者達の住む街へと入り、ドラム缶が壁となっている道へと進む。


「あんた、名前は?」


「クローバーの3です!」


「カードナンバーじゃない! 名前だ!」


 少年にとっては解らない言葉だった。

 何せ施設ではカードナンバーが唯一の呼び名だったからだ。


「言っている言葉が理解できません。僕は認識No.クローバー3としか言えません」


 少年の言葉に、呆れたため息をつきながら言う。


「まったく。あんたは組織に忠実なんだね。あたしはオーデンよ」


「え? あなたはスペードの1ではないんですか?」


「あんた人の話聞いてなかったの? 人間社会の任務につくときは、カードナンバーじゃなくて別の呼び名があったでしょ?」


「あ。今はアンドヴァリ公爵の養子として潜り込んでいます。名はテュールです」


 オーデンはその名を聞いて口笛をひとつ。


「いい名前ね。戦いの神の名前じゃないの。あんたはこのままテュールの名前にしときなさい。もうカードナンバーは必要じゃなくなったから」

 
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