アルフォドル

「ぐあっはっ!!」


 少年の目の前で倒れて気を失い、少年はメットを被ったライダーを見上げた。


「乗りなさい!」


 その声は女性のものだった。

 少年は、敵味方の判断がつかなくなっていた。
 首を横に振って怯えていたからだ。

 少年は振り返り、逃げようとしたとき、女性は少年に叫んだ。


「所属カードを言え!」


「ク…クローバーであります!」

 少年は目を見開きながら女性を見上げた。
 女性は革ジャンの胸のチャックを開け、左胸に彫られたタトゥーを見せる。


「なか、ま…」


 女性の形はスペードの1(エース)。
 形は違ったが、確かに少年と同じ場所で造られた存在だった。


「わかったなら早く乗りな! 他の仲間の場所へ連れていってあげる!」


 少年はバイクの後ろに乗り込み、彼女にしがみついた。

 エンジンを思い切りふかし、逃げようとすると、また新手の軍団が現れた。


「突っ切るから、ちゃんと掴まってな!」

 いきなりスピードを上げ、前輪が浮いた状態で走る。

 敵の銃弾が、まるで見えているように避けて走っていく。

 そのままの状態で狭い路地を抜け、武装男達を跳ね飛ばした。


「くそっ! 奴らのアジトは掴んでいるんだ! 応援部隊をセントラルシティーへ向かわせろ!!」


 胸に付けた通信機で連絡を取ると、自分達も車に乗り込んでセントラルシティーへと向かった。

 
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