アルフォドル
テュールは直ぐさまバイクから下り、オーデンを背にして構える。
だがオーデンは余裕な表情でバイクから下り、メットを脱いで腰に手を当てたまま立っていた。
「オーデンさん。囲まれてます。一体ここは?」
オーデンはクスッと笑いながらメットをハンドルに掛け、長い黒髪を靡かせた。
「ロキにトールにバルドル。この子は仲間だよ。銃を下ろして」
物影から出てきたのは、三人の男達。
ライフルを下ろして出てきたのは、黒髪茶眼のロキ。
右首筋にはスペードの4が見える。
ロキの反対から出て来たのは、ベレッタを両手に持った金髪蒼眼のトール。
右肩にはダイヤのキングが見える。
オーデンの正面からは、バレルを終いながら出てくる、赤髪金眼のバルドル。
左腹にはハートの5が見える。
テュールは三人を見て目を丸くしていた。
「な、なんでこんなにアースカードが? それも、こんな廃墟なんかに?」
力無くヘタリこみながら言うと、なぜこんな状況に陥っているのかを説明してくれた。