アルフォドル


 テュールが驚きながら見回すと、彼方からサイレンの音が響いてきた。

 囲っていたフェンスをぶち破り、パトカーが何十台と入ってくる。


【犯罪者共よ! 今すぐ投降せよ! しなければ女王の名のもと、抹殺する!】


 車の中からその異常なほどのナンバー達の数を見てか、いささか声が震えている。

 人間(ひと)に在らざる者達を前に怯え、恐怖しているのもわかるというもの。

 ナンバー達は警官の言葉を聞き、武器を手に発狂し始めた。

 警官達がその声に怯える中、オーデンは片手を上げてその声を静めた。


「女王の名のもと、ですって?」


 オーデンが俯きながら言うと、警官達の背に悪寒が走る。


「あたし達はその女王の気まぐれのために造られ、表社会では裁けない奴らを狩ってきたというのに、その言い草はないんじゃないかしら?」


 またナンバー達の声が跳ね上がる。
 オーデンはパトカーへと歩み寄りながら、また手を上げて静めた。


「あたし達はこの表社会に、女王の手によって放たれた。言わば、自由を手に入れた!」


 
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