愛恋歌-tinkle tone-
ザァー……
何故だろう…彼から目が離せない。
目を奪われるとはこのことだ。
「…クゥ…ゥ…ン…」
雨音の中にか細く聞こえる仔犬の声にハッとする。
私の存在に気付いた仔犬は、顔をこっちに向けパーカーの中でモゾモゾと動き始めた。
そんな仔犬の行動に彼はうつ向いていた顔をゆっくりと上げる。
ドキッ……
本当にそんな音が聞こえそうなほど私の心臓は反応した。
大きくて透き通った瞳。
スッと通った鼻筋。
薄い唇。
人形のように完璧で綺麗な顔立ち。
その人が私のほうをジッと見ている。
腕に抱かれた仔犬と同じような目で…
濡れた髪の毛から滴がポタポタと落ちて頬を伝う。
「…な…なにしてるの?」
真っ直ぐな瞳に負けそうになりながらも、私は彼に問いかけた。