愛恋歌-tinkle tone-



「え…いや…」


私には分からない。

確かに子犬が気になって公園に立ち寄って、彼と子犬を家まで連れてきたのは私だけど…

でも実際助けたのは必死に腕に抱えて守る彼のほうで…


私は助ける気なんてなかった。

ただ、まだ公園に居るのか気になって確かめたらそのまま去るつもりでいた。

手を差し伸べることもせずに…

一番最低。



ううん、違う…

私は初めから助けるつもりでいた。
公園に居てくれることを願ってた。


だからあのとき雨にびしょ濡れで子犬を抱く彼に向かって


「助けられないなら何で優しくするのよ!何で期待持たせるのよ!」


そう言ったんだ。


まるで子犬の姿が私自身みたいで、惨めに思えたから。


< 34 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop