理想恋愛屋
「えぇっ!?いや、そういうわけじゃ…!!」

 しかし、そんなオレの思いもとうとうバレてしまったのか、クルッと背を向けてきた。


「……社長さん、ひどいわ…っ」


 そういって顔を覆い、グスグスと鼻を鳴らし始めたのだ。


 やってしまった…。

そんな焦りが血の気を更に奪う。


「ええ!?ちょっと、待って!」

 慌てて揺れる肩に手をかけると、さほどオレと変わらない目線をチラリとあげてくる。


「アタシに言った事、忘れちゃったんでしょう…?」

 瞳がうるっと滲んでいる。


「あ、あの…っ!」


 オレはそこまで落ちぶれてしまったのか…。


 後悔というよりも、ここまできたらもはや自嘲するしかない。


「ひどいわぁぁああっ」

 彼女はそのまましゃがみこんで膝に顔を埋める。

慌ててその背中をさすって、アルコールまみれの脳内を必死に働かせる。



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