理想恋愛屋
「……っぶ…」

 思わずオレが噴出してしまったのだが、それがカチンと来たらしく。


「なに笑ってんのよ!葵のクセに!!」


 出た、お得意のセリフ。

プンと頬を膨らませて腕を組む彼女。



「ハイハイ、オレが悪うございました」

「もっと誠意をもって謝って!」

 相変わらず、我らのプリンセスは健在なわけで。


「誠意って、どんなだよ……」

 小さなため息交じりのオレに、彼女はフン、と鼻息を荒くするだけ。





 そんな風に過ごす彼女との日常を、オレは密かに気に入っているのかもしれない。





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