幼馴染の儚い恋

「遅刻してない?」

私は教室を入るなり、もう教室の椅子に座っている女友達に聞いた。

「おはよう玲華。先生はまだだから早く席に着いたら?」

「え、あ、おはよ。ありがとう。」

私は息を切らしながら急いで自分の席に座った。

私達は奈央も、優花もそれぞれ別の教室で、それぞれの教室に分かれて入るときはお互い”ばいばい”というのに、今日は私が奈央に涙をを見せたくなくて急いできたせいで、それが出来なかった。

しばらくすると、先生が教室に入ってきた。

「はい、静かに。じゃあ朝礼やるから日直出てきて。」

私の学級の先生は五十代手前の男の先生で、太っているところから狸。狸だから”たぬちゃん”という愛称でしたられている。とても生徒想いで、いつもニコニコしている。逆に怒っているところを見たことがないくらいだ。

「朝の挨拶をします。起立。」

今日からまた新しい一日が始まる。

「おはようございます。」

皆が起立や着席をすると椅子を引きずる大きな音がなる。

私は着席をした後、まだ鞄から出していなかった教科書類や筆記用具を引っ張り出した。

その間に今日の日直は自分の席に着き、今度はたぬちゃんが話し始めた。

「えー、今日の連絡は明日の数学と英語が変わるそうなので間違えないでください。以上です。あと、この前のアンケートをまだ提出していない人は早く提出してください。起立。ありがとうございました。」

アンケート。そういやまだ提出していなかったな。確か内容は...

「どうしたの?玲華」

私がアンケートの内容を思い出そうと、腕を組んで机の上に寝そべっていると、突然視界が真っ暗になり、聞いたことのある静かで優しそうな声が私の頭の上から聞こえた。

「百合でしょ?ううん。なんでもないよ。ただアンケートの内容を思い出そうとしてただけ。」

私がそういうと、パッと目の前の視界が明るくなり、今度は目の前に小さくて可愛い顔が目の前にあった。

「正解。よく分かったね。」

「当然。」

吉田 百合 ヨシダ ユリ

中学生になってから初めて出来た友達でとても気が合い、私が奈央のことを好きだということも知っている。

奈央の次に信頼が出来る友達である。

「で、どうしたの?涙なんか目に溜めちゃって。」

「分かった?」

「それは分かるって。どうせまた奈央君と喧嘩でもしたんでしょ?または嫉妬?」

笑いながらそう言う百合には隠し事は出来ないな。と思いながら、私の事なんでもお見通しなんだ。ということも分かった私は胸が温かくなった。

「嫉妬だよ嫉妬。あとでまた話す。」

そんな話をしていたら一時間目の始めを告げるチャイムが鳴った。



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