舞い散る花の導く先に
出血を隠すために上掛けを羽織る。

手で押さえてなければすぐにしみだしてしまう。

誰にも出会わないことを願いながら私は歩き出す。

しかし運悪く、原田さんと土方さんが土方さんの部屋から出てくる。

原「おう、呉羽じゃねえか。どうした眠れねえのか?」

原田さんはいつもの気さくな顔で微笑みかけてくる。

呉「はい、少し・・・・」

私はぐっと傷口を圧迫して血を止める。

土「呉羽、お前具合でも悪いのか?顔が青いようだが」

観察力が鋭い土方さんは私の異変にすぐ気づく。

どうしよう、このままここにいたら気付かれてしまう・・・

呉「そんなことないですよ!私寝ますね!おやすみなさい」

口早に言葉を発して歩き出そうとする。

すると土方さんが私の肩を掴む。

土「お前、なんでずっと左肩押さえてるんだ?」

呉「別に・・・そんなこと・・・」

傷口が動悸を打っているような感覚がする。

すると原田さんがさっと上着をとってしまう。

呉「あっ・・・・」

上掛けを取られてしまったせいで血に染まった左肩があらわになってしまう。

原「お前!!怪我してんじゃねえか!!」

土「傷口を見せろ!!」

呉「これくらい大丈夫ですから!!」

私はなんとか二人の合間を縫って行こうとする。

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