舞い散る花の導く先に
呉「ん・・・・・」

土「呉羽、容体はどうだ?」

すこしだるそうに眼を開けてそして起き上がる。

呉「傷がふさがっている・・・」

沖「君の机の上の薬を飲ませたらふさがったんだよ」

呉「ああ、あの薬か・・・・」

どこかまだ夢見心地な口調で声を発する。

土「呉羽。お前誰に刺された?」

呉「気にすることはありませんよ。すべて終わったのですから」

そういって微笑む顔はいつもと違う様に見えた。

沖「そういう訳にもいかないんだよ」

原「ああ、お前は死にかけたんだぞ?」

呉「でも、こうして現に生きているわ。」

土「呉羽、いいから教えろ」

鋭いまなざしを土方は向ける。

たいていの人間はこのまなざしで見られると耐え切れず言葉を紡ぐ。

しかし呉羽はそのまなざしを受けて不敵に微笑む。

呉「終わったと言っているのが聞こえないの?」

呉羽の発した言葉に誰もが口を紡ぐ。

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