大人的恋愛事情 SS
グラスの中の透明なはずの液体はオレンジに染まり、細かい気泡がパチパチと弾ける。
テーブルに並んで座り、それを軽く合わせると小さなガラスの音がして、さらに気泡が弾けた。
「記念すべき、一回目だな」
「え?」
「これから何回こうやって、繭の誕生日祝う事になるんだろうな」
グラスをテーブルに置き、そんな嬉しい事を軽く言う藤井祥悟。
シャンパンの冷たさが喉を通り、蝋燭の火が灯るこのリビングの小さな空間には、今の私の最高の幸せが充満する。
甘さ控えめの、フルーツケーキは本当に美味しくて思わず隣を見ると、私に幸せをくれる男が苺を口に入れていた。
揺れる灯りが、藤井祥悟のスッキリとした顔に、陰影を作りだしいつもよりも色っぽく見えて思わず見惚れる。
「見るなよ」
「どうして?」
「恥ずかしいだろ」