君はボクの天使?
それなのに
私は日に日に寝付きが悪くなっていた

明かりを消して目を閉じると
リクちゃんの事ばかり
思い出してしまう

リクちゃんと繋いだ
小さい手の感触とか
よく通る歌声とか
男らしい腕とか、あのいい香りとか

自分の中からリクちゃんの記憶が消えないようにするかのように
毎夜、繰り返し思い返した

何度ねじ伏せようとしても
気のせいだと思うようにしても
リクちゃんへの思いは日ごと、
誤魔化せなくなってきていた
私は徐々に
トモに冷たくなっていってしまった

その日も
目覚めが悪くて憂鬱な私は
なんとか家を出て駅に向かっていた

今日は結婚式の1回目の打ち合わせだった
だけどとてもそんなテンションじゃないし
トモにも、正直会いたくなかった

待ち合わせ場所は、
ブライダルサロンの最寄り駅

改札に着くと先に待っていた、トモと目が合った

「・・・おはよ」

私達は並んで歩き出した

寝不足で頭が痛む私は
いつになく無言なのに
トモは心配もせず歩いてる

リクちゃんだったら今頃
私の寝不足を当ててくれたんだろうな

そんな事をぼんやり考えながら
手を繋ぐ気持ちも沸かないまま
ブライダルサロンに到着した






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