君はボクの天使?
平日の午前中のせいか
打ち合わせのカップルは私達だけだった

案内された席に着くと
窓際のウェデングドレスの展示が
視界に飛び込んできた

真っ白なAラインのドレス
手元に添えられたブーケ

私も数ヵ月後には着るのかな
どうしてもイメージが沸いてこない

ボーッとしていると
スーツを来た同年代の女の子がこちらへやって来た

「大変お待たせ致しました。私、お二人のご担当をさせていただきます黒澤と申します。どうぞ宜しくお願い致します」

「宜しくお願いします」

ウェデングプランナーと書かれた名刺を受け取りながら私もトモも会釈する

「この度は、おめでとうございます」

祝福の言葉に、私は思わず苦笑いをしてしまった

「今日は、1回目のお打ち合わせという事で、まずはどんな披露宴にされたいか、お二人のイメージをお聞かせ頂きたいのですが、いかがですか」

それは
前回もここで契約した時にあらかじめ言われていた事だった

でも私は
今日までまったく何も思いつかないでいた

「つぐみ、なにかある?」

「んー・・・」

トモに聞かれても
私は、何も答えられないでいた

しばらく沈黙が続いてしまった末
黒澤さんが機転を利かせてくれた

「では、ゲストの確認から致しましょうか?リストアップはされてみましたか?」

「あ、はい」

私は昨日の夜、急いで仕上げた招待客リストを取り出して広げた

黒澤さんが、トモのリストと合わせて人数の確認をする

ゲストの食の好みを聞かれたのでいくつか答えた後は、
実際の食事のメニュー例について
黒澤さんが、話してくれるのを
ただ私は黙ってひたすら聞いていた

そうやって
具体的な事は何も決まらずに
1回目の打ち合わせは
終了してしまった








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