君はボクの天使?
今、言わなくちゃ

「実は、別れたの」

「え・・・?」

一瞬、リアルな沈黙が訪れる

「どういうこと?」

「彼じゃないと思ったから」

その時、オーダーしていたドリンクが届いて一旦、会話が途切れた

店員が離れて行くのを待って
私は、暗い表情のリクちゃんに向かって言った

「リクちゃん私ね、リクちゃんじゃなきゃダメみたい」

リクちゃんは、黙ったまま私を見てる
表情は曇ったままで・・・

「リクちゃんの事が好きなの」

何か、言ってよ

「やっぱり、リクちゃんと一緒に居たい・・・」

しばらく沈黙が続いて
そして、リクちゃんは言った

「つぐみちゃんの気持ちは嬉しいんだけど、俺・・・今、大切な人が居て、その人は俺の事を本当に好きでいてくれてるから裏切れないんだ」

ショックだった
信じられなかった

「私も本当に好きだよ?リクちゃんの事・・・」

言いながら泣いていた

「ごめん、つぐみちゃんの気持ちには答えられない」

リクちゃんが、遠く感じる
どことなく雰囲気が変わってしまったのも、その彼女のせいなの?

私は、しばらくリクちゃんの前で
何も言えず、ただ泣いていた

遅かった

その言葉ばかりが
頭をグルグル巡った

本当は、もっと早く分かっていたのに
その子より、きっと私の方がリクちゃんの事を前から好きだったのに

どうして?
私の事を好きだったリクちゃんに
戻ってはくれないの?


色んな事を思ったけど
何一つ言葉にはできなくて
全部、涙に変わっては次々と流れていく

リクちゃんは、
ただ静かに私の前に居てくれた


そして、しばらく泣いた後

時間をだいぶ過ぎてしまっている事に気づいた
私は、なんとか涙を拭いて、言った

「ごめんね、もう大丈夫だから」

「うん・・・ごめん、つぐみちゃん」

リクちゃんが小さな声で言った

私は、残った力を使いきってなんとか笑顔を作ってそして言った

「リクちゃん、幸せになってね」


なんだか、はじめて
私に結婚を打ち明けられた時の
リクちゃんの気持ちが分かった気がした

だけど今さら気づいても
何もかも、すべて遅かった









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